NAHBS:北米ハンドメイドバイシクルショウ
2006年 03月 17日
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例年、Houston, Texas で行われていた、その名も文字通り、北米手作り自転車ショー [North American Hand Made Bicycle Show 2006] を見てきたのだが、今年よりその舞台をココ、 San Jose, California に移しての開催とのことで、初回開催時から4倍の面積に増えたと聞いた。
Naz を始めとする、彼らアメリカ人オタク野郎どもの話をおれが総合するに、アメリカでも最近、一度か二度スポーツバイクを買った人は、次のバイクを探すにあたり(ようするにオタク初心者が)大手メーカーのモノを敬遠する方向にあるという。大手メーカーのオタク向け商品となると、カーボン/ハイテク/レース色が濃くなるトレンドが支配しているのが現状なわけで、そりゃー自分の嗜好/脚力/使用シーンとマッチしなくなっていくわけです。
レースでどう、とか
○○グラム●万円、とか
カーボン繊維がどう走る、とか
ストロークが何ミリでピボット位置がどー、とか
ランスなんとかストロングがタマ取った、とか
ましてやペダリングロスがどー、とか
剛性が、バネ感が、とか
そういう事を話している人はこの会場では皆無です。(うそ・それは大げさ)
しかしその雰囲気は、マーケティング屋・広告屋/無理解な distributor が入り込んで、ただ新しいモンを売るのにやっきな自転車雑誌的世界とは全く異なる次元で、ピュアに製造者と触れ合える素晴らしい場所で、そういった意味でハンドメイドなショウなわけです。そんな証拠にそこでは Litespeed も出展してましたが人気がなかったです。Vortex 超カッコいいけど。
旧来からの良いスタイルを自由に取り入れ、無駄な手間・アイデアをかけて作り上げられた、ある意味で過剰な自転車を愛する輩達... 純粋に俺の求めてたショーで感激もひとしおでした...
んで、回りくどく1日のレポートになるわけだが、開催場所が the South Hall of San Jose Convention Center ってところはずなのでそこに行ってみたら、確かにデカイホールはあるにはあるんだけど、おばさんとかちっちゃい子とか...そんなンばっかで明らかに違うショウをやっててあせった。それっぽい誘導サインもなけりゃ、ディレクトリには南館って表記もない。日程を間違えたか? 俺はアメリカまで来て、なにやってんだ...と、半ば投げやりにコーヒー&タバコをやりに建物の外に出ると、目の前をイカレ Fixie 集団がささーっと通りすぎていくじゃありませんか。
気を取り直し、受付のおばさんにサウスホールはどこですか?と聞くと、メインの建物から5分くらい歩いたところにある、明らかに臨時で駐車場をつぶして作ったテントでの開催でやんの。写真の奥、でっかい建物が本体のコンベンションホールです。
中はこんな感じ。
気負って朝のオープン30分前に着いちったから、人影はまばら。
準備真っ最中って感じだった。
ンだから San Jose のダウンタウン中心の方に歩く事にした。
ブランチでもしゃれ込むか、と。
メキシカンやチャイナも飽きたし、いかれベジタリアンに当たるのもヤだったし、昨日は初めて行ったアメリカの Denny's でステーキ食ったから、っつって消去法で選んだのが Tully's での SUSHI (泣)しかも結構高い。$7-位しやがった。コーヒーすすりながらのスシは結構うまい。久しぶりの醤油味(ヤマサ)が泣かせます。
腹ごしらえがすんだので、電車でコンベンションセンター駅まで戻り、テントの中へ。
会場は、こんな感じ。狭い会場だが、60を越すビルダーがひしめいている。初日だったこともあって準備中どころか、看板だけで欠席しているような風情の所もあったのはしょうがないか。我が Steelman Cycles もまだ?来てなかったし(泣)
入り口のレジストレーションは日本で済ませといたのでスムースだったが、ココでは撮影禁止だからねー、と言い渡されあえなく撃沈...そりゃないよ、おいアメリカ人、ケチくせぇぞ!とくだをまきながら、一通り見学してきた。
すげー!おもれー!おもろ過ぎ! 写真がないんでアレだが、とにかくおもろいです。Paul Component の Paul さんとか Phil Wood の Phil とか Ahearne Cycles の Joseph Ahearne とか Vanilla Bicycles のMr.Vanilla ...確かこれはうそ、でもVanilla はデザイナーの人と会った... 当たり前だけどブランド名そのまんまの創業者が、目の前にいて握手しちゃったりするのは新鮮で且つ、そういうことなんだなー、妙になっとく。
んでも、俺的には会場入ってすぐの場所に鎮座してた Jonny Cycles の Jon Kendziera に会えたのはデカかった。
はっきり正直に言って、たかだか毎日200弱の人が見に来てくれているだけのこのブログでさえ、このイかしたバイクブランドを秘密にしておきたい衝動もあるんですが、あえて書きます。 おれはこの John Lennon のような風貌の Jonny が作るバイクを一目見るためにここに来たようなものだったので、思わず緊張してしまった。そこにいる事30分以上、変な日本人だと思っただろうなぁ(恥)
奥さん?ガールフレンド?彼女は俺が今まで生で見た女性の中で一番きれいでかっこよくて、当たり前と言うか案の定というか安心したというか、彼はとてもいい人で、おれが「今はお金がないから無理だが、近日中に図面を送るよ、見積もってね」というと「いつまでも待ってるよ」と言ってくれたのでした... 彼に連絡したくなった人は Yohei Morita の所で見た、と彼に逆宣伝しておいてくださいね。
Jonny に撮影していい?って聞いたら、もちろんイイよ!と快諾を受けたので撮らしてもらった。もう、とろけそうです。
ちなみに今から注文しても出来上がりは1〜2年かかります。知り合いの Julie は7ヶ月かかったバイクが先日届いたと言う。
いつの間にか会場は大にぎわい。人気ビルダーは人だかりが凄い。サンフランシスコから熱いオタク野郎(女の子も)たくさん来てた。いいなぁチャリで来れて...
レアなビルダーブランドTシャツを買いまくること5枚。もらったステッカー・名刺の数しれず。
グルグル会場を3周して、しらみつぶしに全部のブースを廻って、ワタチニホンカラキマシタとか言うと誰かれ握手してくれるので、日本に生まれて良かったなぁ、ありがとう日本国、とかとも思いつつ、会場を後にすることにしたのでした...。
なんというか言い尽くされた言葉だが... 自転車、ましてやハンドメイドバイクというと、【classic】 という言葉が大切にされている世界ではあるが、それら古きを学び、それでいてあくまで他人と似せない、人とは違うものを生み出してやる、といった気概のようなものを肌身にビリビリ感じた気がします。最新ハイテクバイクや日本のビルダーの作るバイクもとてもイイと思うが、その点で薄いと思う。ま・好き好きだけど。
写真は、個別にいちいち聞けば、よそのところでも撮らせてもらえたみたい。
flickr で NAHBS って tag 検索してみてください。
来年も San Jose で開催したいよ、ココは暖かいしね、とこの素晴らしいショウの主催者でもあり、出品者でもあり、自分の名を冠した自転車メーカーのボスでもある Don Walker 氏は、直接俺に言った。彼の指は火傷だらけでゴツゴツしてました... すげータフだなー。
彼らは自分たちでこのショーを開催している。
日本のハンドメイドバイクショーとは成り立ちからして違いすぎます。日本のそれも、どっかの天下り野郎らと決別して、創造者達自身で発信するくらいになったらカッコいいのに、とか思いました。
by yohei_morita
| 2006-03-17 22:50
| いく人。
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